常識も覆す究極の技術、ここにあり!サプライヤー取材 vol.2 ~三共機工株式会社様~
第2弾では、ミウラの製品になくてはならない、あの技術をご紹介。
不可能を可能にしてしまう職人魂、そしてそれを率いる社長の信条は必読です。
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三共機工株式会社
〒799-2655 愛媛県松山市馬木町899-3
創業: 1952年(昭和27年)
事業内容: ガス関連部品(ミウラ指定品)、共同認可物(労働局認可品)、配管等が可能。
曲げ加工+機械加工+溶接での配管製作ができ、特注一品物に対応できる。
配管のバーリング加工が可能で、これができる協力企業は極めて少ない。
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この方にお話を伺いました
くりはら しんいち
栗原 慎一 さん
三共機工株式会社 取締役社長
プロフィール
1966年生まれ。
今から約15年前に電機メーカーを退職。会社を継ぐため松山へ帰ってこられました。趣味についてお聞きすると、ゴルフ、ウェイクボード、スノーボード、ソフトボール、そして秋祭り…と、とことんアクティブ。気さくなお人柄ですが、ものづくり業界の未来に対し、経営者としての鋭いビジョンを明確に持っておられました。
プロローグ
ボイラにとって溶接が重要であることは説明した。
そんな溶接のプロである門田鉄工に並んで重要なトップサプライヤーとして君臨しているのが三共機工株式会社である。
第1弾はこちら
彼らの技術力を知らずして、ミウラの製造は語れない!
ミウラを支えるサプライヤー企業を訪問取材① ~株式会社門田鉄工様~
ミウラplus[ミウラプラス] (miuraplus.com)
こちらも溶接部門が得意であることは事実であるが、違いとして、部品の削り加工やパイプの曲げ加工を得意とする。
そして、三浦工業との付き合いもかなり古く、どんな小さなものでも即対応する早さと確かな実績を備えている。
たとえば、他のサプライヤーでは製作できない技術加工や、どうしても間に合わない短納期案件をお願いされることもしばしばだという。
また、設計部門から直接電話がかかってきて、アドバイスを求められることもあるという。ミウラにとって無くてはならない存在である。
幾度となくミウラのピンチを救ってきたその底力はどこから湧き出てくるのか。
漫画家の見ル野栄司が三共機工を訪問させてもらい、長きにわたる信頼の秘密を拝見させていただきます。
ミウラのトップサプライヤーを訪問!! 三共機工株式会社編
著:見ル野 栄司
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ミウラのトップサプライヤーを訪問!! 三共機工株式会社編
見ル野 栄司
みるの えいじ 以下、MIRUNO
MIRUNO:
トップサプライヤーを巡る旅!
次の企業さんも
けっこうな技術を持っているとのこと
【 で~ん 】
[ 三共機工株式会社 ]
MIRUNO:
こちらも結構大きいなー
三共機工株式会社 代表取締役社長 栗原 慎一 氏
くりはら しんいち 以下、KURIHARA
KURIHARA:
我が社もミウラさんとは歴史が古くて
設立されたころからお付き合いがあるんです
実はミウラさんの敷地内に
我々の倉庫もあるくらいでして
(※看板は無い)
KURIHARA:
まずは工場内を見てみます?
MIRUNO:
ハイッ
なぜ倉庫が?
ものすごく長いエピソードになりそうだから、聞かないでおこう
KURIHARA:
こちらの右側は溶接エリアで
左が加工機械のエリアです
【ビビビ】
【ガゴオオオ】
【バババビビ】
MIRUNO:
これだけ広いと
夏は暑くて、冬は寒いんじゃないですか?
KURIHARA:
そのあたりはちゃんとしておりまして
現場で働く職人の負担にならないように
空調はしっかりしています
MIRUNO:
さすが!
快適な仕事環境!
社員さん思いですねー
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【バビバビ バビビビ】
KURIHARA:
こちらは溶接部署でして
いろんな部品があって
年に1000種もの製品を作るんです
MIRUNO:
1000種類!
スゲー
技術が高くて早いからこその
多品種少量生産ですな
【ビビビ ビバ】
KURIHARA:
これはボイラの上に登るための
ハシゴです
MIRUNO:
フムフム
パイプ溶接が得意だからできるハシゴ
このへんは門田鉄工さんと
また別のジャンルか
【プシュー】
【シュー】
MIRUNO:
塗装だ!
フムフム
まんべんなく綺麗に塗っている
KURIHARA:
では加工の部署に案内いたします
MIRUNO:
どんな特殊加工機があるんだろ!
ワクワク
KURIHARA:
これがマシニングセンタでして
名前がケンシロウといいます
[ ケンシロウの名前プレートあり!]
MIRUNO:
ウヒョ!
他の工場でも
機会に名前を付ける文化がありますよね!
北斗の拳のケンシロウが大好きなんですね
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KURIHARA:
いやいや
そういう理由ではないんです
この設備を導入したとき
納入してくれた業者さんが
茶目っ気で名前をつけてくれたんです
KURIHARA:
それが「太郎」でして
その後導入した次郎・花子・三郎は引退したんですが
次この子はどうしようかとなったときに
四郎だと物足りなくて
ケンシロウとなったんです
MIRUNO:
というか
この太郎は、なぜまだ引退してないんです?
KURIHARA:
いまだに太郎じゃないと加工できない部品の発注をいただくもので
ミウラさんの製品の
長いメンテナンス期間に対応できなくてはなりませんから
いつでも稼動できるように待機しているんです
KURIHARA:
こちらはムサシといいます
そのころ量産を期待される部品のために導入したんですが…
KURIHARA:
最近は月に5、6個でして
その代わりに今は、当初の目的とはちがう部品製作で活躍させてますよ
ハハハ
MIRUNO:
滅多に出なくても
こうして待機してくれているって凄い
だからこそ頼りにされているんだろうな
KURIHARA:
こちらが我が社でしかできない
パイプベンダー加工(※)の装置です
【ガコココ】
【チュイイイ イイ】
※ベンダー加工・・・曲げ加工
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MIRUNO:
パイプの曲げって
そんなに技術が必要でしたっけ?
KURIHARA:
パイプというのは
厚みを変えずに曲げるのが難しいんです
内側は厚みが出ますが、外側は薄くなり強度が下がってしまいます
・薄い
・厚い
だから装置の制御を工夫して
肉厚を保ったまま曲げるようにしたんです
・パイプ
・芯がね
・芯がねの押し引きの制御
・曲げ
・パイプの押し引きの制御
KURIHARA:
工程を見てみましょう!
芯がね(※)に油を塗ります
KURIHARA:
パイプをセットして
KURIHARA:
曲げる
KURIHARA:
ミウラさんの厳しい精度要求があるからこその技術です
KURIHARA:
このパイプベンダー装置をここまでカスタマイズするのに
かなり苦労しまして、試行錯誤の繰り返しでした
MIRUNO:
この技術あってこその品質とも言えますね
【 プシュー 】
KURIHARA:
こちらは大型のものです
MIRUNO:
デカ!
MIRUNO:
芯がねも、お値段高そうですねー
※芯がね・・・パイプを曲げるとき、管がつぶれてしまわないように中に入れる芯のこと
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MIRUNO:
他に得意な技術は何がありますか?
KURIHARA:
ハイ
こちらのパイプバーリング装置(※)です
KURIHARA:
こちらが加工後の仕上がりです
MIRUNO:
アレ!?
板金のバーリングと違う!
MIRUNO:
どういう仕組みなんですか?
KURIHARA:
こちらで説明します
KURIHARA:
パイプをセットして
中に球のナットを入れるんです
ナットを真ん中の位置まで持っていって
KURIHARA:
そのナットに下の穴から治具ボルトをセットしたら…
油圧で下から一気に引き込みます
・パイプ
・球のナット
・治具
・治具ボルト
・油圧で引っ張る
MIRUNO:
元の穴が長穴だったり菱形だったりと
これもノウハウなんですね
MIRUNO:
この後に
継手とかを溶接するんですね
KURIHARA:
それらに漏れが起こらないかの検査もあります
※バーリング・・・素材に穴をあける加工
穴をあけた部品に立ち上がりをつけて強度を持たせる特徴があります
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KURIHARA:
こちらで実際に
高圧力をかけて漏れの検査をします
MIRUNO:
この検査装置も
ここの職人さんが作ったのね
MIRUNO:
もしかして
職人さんはいろんなことができるとか?
KURIHARA:
そうですね
溶接以外にも旋盤加工(※)や曲げ加工もできたりと
総合力があります
KURIHARA:
私が関わらなくても
材料手配から、その在庫管理や、製造する部品のストックまで
自分たちで全部やってしまうんです
MIRUNO:
在庫として取っておくんですね
KURIHARA:
突然図面が来ても
すぐに対応できるようにしています
MIRUNO:
三共さんの今後の展望は?
KURIHARA:
これからも
多品種生産かつ短納期対応を目指しますが
私は先代から言われたことも大事にしています
KURIHARA:
例えば
現場の冷暖房を完備しているのは
社員に快適に働いてもらうためでして…
先代曰く
「金を稼ぐのは職人の皆だ
その人たちを守ってやるのが社長の仕事だ」
これが全てだと思っています
MIRUNO:
オ~
MIRUNO:
社員を守り
モノづくりの世界を支える三共機工!
それだけは曲げられない!
END
エピローグ
今の三共機工の社長は元大手電機メーカーでソフトウェア開発の仕事をしていた。
40を過ぎてから跡を継ぐことになり、まったく違う世界に飛び込んでの苦労はかなりのものだっただろう。
漫画にもあるように、こちらに来てからすぐに取りかかったのが冷暖房設備などの空調をはじめとした、工場の職場環境改善だったという。働く環境作りあってのモノづくりである。
さらにそのソフトウェア開発の実績を活かして、社内システムも構築したというスマートさはまさに今の時代のリーダーに相応しい。
非常に高度な技術であるパイプベンダーの装置だが、導入時にはメーカーから、その材料でその曲げはできない!と言われたという。
しかし現場の職人たちは、彼らの経験から絶対にできると判断した。一方、メーカーにも意地があるのか、できるのならぜひやって見せてほしい、と嘲笑したらしい。
ところが、見事に職人たちと社長は、理想的な曲げ技術を完成させた。
油の量や、パイプや芯がねの押し引き制御など、経験を活かした試行錯誤の末にパラメータを叩きだしたのだろう。
その後、驚いたメーカーが教えを乞いに来るという楽しいオチが付くことに。
それもこれもミウラが求める厳しい基準あっての苦労と成功である。
職人の教育もいきわたっており、皆、自分の仕事に誇りを持っている。
彼らは未経験の入社も多く受け入れており、最近では女性の入社希望も増えているという。
元気いっぱいの栗原社長は年齢のわりに若々しい。
それも充実しているからこその若さかもしれない。
その証拠に、祭りにはギンギンの金髪とド派手な衣装で無双するという。
遭遇する三浦工業の社員を仕事以外でも驚かすとは、なんとも粋である。
三共機工の栗原社長、工場の皆様、
取材に応じてくださり、ありがとうございました。
次回は、日々サプライヤー各社と直接交渉し、部品手配の業務を行っている調達部の方にインタビュー。
お仕事の内容をはじめ、サプライヤー各社との関わりなど、盛りだくさんのお話を聞かせていただきました。
乞うご期待!!