ありがとうの伝え方革命~シャイな情シスでやってみた~
何事に対してもすぐに「ありがとう」と伝えられる人もいるけれど、
心では思っているのに、なかなか言葉にすることができない・・・そんな人もいるはず。
今回の記事では、ミウラグループの「シャイ」代表!?情報システム部(略して情シス)で活用されている、ある仕組みをご紹介。
それはなんと「ありがとう」をポイントにして贈り合うことができて、ポイントが貯まると商品と交換することができるのだとか。
「ありがとうポイント」、通称「ありポイ」を始めたことによって、シャイな情シスのなかに変化は起こったのか・・・!?
ありがとうの伝え方革命は起こっているのか!?
その実情にライター大木が迫ります。
登場人物
せいかつ編集室 大木春菜 OOKI Haruna(オオキサン)
情シスのシャイ事情を探るべく派遣されたライター。ふわっと、根掘り葉掘り聞いていくのが得意ワザ。
情報システム部 課長 武田舞 TAKEDA Mai(マイ)
事務職で入社し、いつの間にかシステム開発の道へ。ずっと情シスを見守っている、みんなのお姉さん的存在。
情報システム部 川又美紗子 KAWAMATA Misako(ミサコ)
中途採用で三浦工業へ。アイディアと細やかな気配りで「ありポイ」受け取りランキングNo1。趣味はイラスト。この記事のイラストも描いています。
情シスがシャイな理由
ーそもそも、情シスとは?
情報システム部は、もともと「株式会社ゼットシステム」という名前で、三浦工業のグループ会社として独立していました。
それが、2006年に三浦工業と合併して今のスタイルになったんです。
「地元の愛媛でシステム開発をしたい」という人が集まった部署だから、ちょっとシャイだったり、外を経験したことがない人が多い印象です。
仕事内容は、国内外のミウラグループ社員が使うシステムを作ったり保守をしたりすること。
たとえば、ミウラのお客様を管理するシステム、製造の工程管理システム、会社の売上や振替を管理する基幹システム、ワークフローシステムなどを作っています。また、ネットワークやパソコン管理なども行っています。
フロアには協力会社の方を含め総勢62名のスタッフがいます。
ーなぜ「ありポイ」をスタートしようと思ったのでしょうか。
もともとは2018年に「情シスイメチェンプロジェクト」という活動をしていました。
ーイメチェン!?
そうです(笑)。情シスは「暗い」、「静かな部署だ」という印象を他部署に持たれていて。
「大人しい人の集まり」みたいなのを払拭するために、プロジェクトを立ち上げました。
ーすごいイメージを持たれているんですね(笑)。
なぜそんな雰囲気に・・・?
私は以前、違う会社で働いていたんですけど。
最初、部屋に入ったとき「静かだなぁ・・・」って感じました。私語がない部署なんです。
あまりにもシーンとしているから、電話を取る声を小さめに調整したりしてました。
私は、ゼットシステム時代からいますが、以前はもっとアットホームな雰囲気だったように思います。
小さい会社だったし、今より部の人数も少なくて。
社員の家族を巻き込んで「ファミリー会」をしたり、社員旅行で海外に行ったり。
三浦工業になり、人数も増え、部員の関係性もちょっとずつ変わってきたのかもしれません。
「ありがとう」の対義語は「あたりまえ」
その後「MODプロジェクト」という活動に発展しました。
MODは”Miura・ Organization ・ Development”の略で。
「情シスをよくしたい」、「部員全員が働きがいのある・働きやすい場所にしたい」という趣旨でいろんな企画をしていたんです。
そのなかで「イラッとしたこと集め」をしました。ちょっとしたイライラをみんなで共有するんです。
たとえば、「キッチンペーパを使い切ってもそのままにしている」、「受付に誰か来ていても知らんぷり」とかです。
MODプロジェクトでは、みんなに部署の「いいね」と「もったいないね」を書き出してもらうワークショップもしたんです。
すると、いろんなことが出てきました。
「言いたいことが言えない」
「静か」
「反応がない」
「心理的安全性がない」
とか。
こうなっていったのは、何か特別な出来事があったから・・・っていうわけではないと思うんです。
ここ数年社内システムを総入れ替えするという、情シス過去最大級のプロジェクトをやっていて。休日出勤や残業も多くて。
みんな疲れていたし、ギスギスしていた。
だんだんコミュニケーション不足になっていっちゃったんじゃないかなぁと思います。
一人ひとりが問題というより、全体の雰囲気ですよね。
環境がそうさせてしまったんだと思います。
コロナもあって、プレッシャーのかかる仕事があって・・・だったので。
みんな忙しすぎて、お互いの仕事や行動に対して「やってあたりまえ」という態度になってしまったのかなぁ。
さっき話題に出たキッチンペーパーの補充のことも、同じ。気づいた人がみんなのために替えるんだけど、それが「あたりまえ」になってしまう。
気遣いができる人が損して、モヤモヤが溜まっていく。
誰かがやってくれるという状況が「あたりまえ」と思っている人がいる・・・。完全に二極化してしまっている。
「ありがとう」の対義語は「あたりまえ」だと思うんです。
気がついてやってくれる人がいることが、いつの間にか「あたりまえ」になってしまう。
でも例えば「今日もボイラが動いてる」ことって、実は「あたりまえ」じゃないんですよね。
ミウラやお客様一人ひとりがきちんと自分の仕事をして、連携をとっているから、今日もボイラが動く。ミウラってそうした「あたりまえ」をお届けする会社なんだなってことにも気づきました。
だから「あたりまえ」をちゃんと「見える化」して、誰かがやってくれたことには感謝しよう。そんな想いから、「ありポイ」を始めたんです。
「ありがとう革命」の効果
ーありポイってどんな仕組み?
ありがとうを伝えたい人に、メッセージと一緒にポイントを送る。そして受け取ったポイントはお菓子や文房具などの景品に交換できる。といったシンプルな仕組みです。
この仕組みを実現するために、システナ社が提供するウェブアプリを使っています。
情シスのフロアはとっても長くて。
端っこと端っこの人は、トイレでばったり会うとかしないと、顔を合わす機会がまったくないんですよね。
ちょっとお礼を言いたくても、「席を立ってわざわざ行くまでは・・・」というときに、ありポイが役に立つんです。
半年で2,210件のありポイが動いているので、1日20件ぐらい、「ありがとう」が交わされているっていうことですね。
一緒にコメントを添える事ができるので、「コーヒーメーカーの掃除ありがとう」「昨日は遅くまでトラブル対応に付き合ってくれてありがとう」「ランチ会の企画ありがとう」「いつも窓の開け閉め気にかけてくれてありがとう」「ありポイありがとう」とか、そういう温かいやりとりが交わされています。
ーフロアの空気は変わってきましたか?
ありポイも含めて、総合的に変わってきているように思います。今仕事のピークを越えたのも関係あると思いますが。
MODプロジェクトのメンバーや活動に協力してくれるメンバーの「部署をよくしたい!」とコツコツやってきた様々な取り組みが、ボディブローみたいに効いているのかな。
ありポイ景品のことでアナウンスをすると、みなさん反応してくれて。
先日、北海道フェアをやったのですが、「わ~ロイズがあるよ~!」「じゃがポックルすき~!」とか、集まってワイワイしてくれてうれしいです。
ちなみにプレゼントは、お米とか無印のお菓子とか、ちょっと高いカップラーメンなどが人気です。
ありポイを送るときに、目的を選択できるのですが、選択肢を「イイね!」「だいすき!」とか、普段はなかなか言えないような言葉にしているんです。
「だいすき!」はマイさんのこだわりで(笑)。
大人になって「だいすき!」とかなかなか言われないので、ちょっとうれしいですね。
日頃は面と向かって言えないことも、書けちゃうのがポイントです。
ありポイに関するアンケートを取ったところ、このような意見をいただきました。
「業務外でのコミュニケーションを図るきっかけになり、よかった 」
「日頃の行動の結果ありポイがもらえた&ありがとうを伝える口実になる、という点でよかった 」
「普段言葉でありがとうを伝えているけど目に見える形で感謝を伝えられるのがいいなと思った 」
「ひとことメッセージが想像していた以上にうれしい 」
送る側も、受け取る側も、普段意識していなかった「ありがとう」に注目することができていると感じました。
「大きい革命が起こった」というより、「じわじわとはじまる」きっかけをつくれた気がします 。
ー課題はありますか?
ありポイを積極的に使ってくれる人と、まだ活用できていない人がいることですかね。
まだ使ったことがない人も、ぜひ使ってほしいな~って思います。
それが私生活にも広がっていくとうれしいですね。
例えば、家族って同じ家で過ごしているだけで、「やってくれてあたりまえ」になりがちじゃないですか。
私は、家でも「ありがとう」を意識して言うようにしています。夫が洗濯物を干してくれたらすぐ「ありがとう」って。逆に、自分がしたときに言われなかったら嫌な気持ちになるから(笑)。
そんな感じで、まずは「意識」していくことが大事だと思います。
私は逆に・・・家に帰ったら、まったく「ありがとう」言わないんですよ。ダメですね(笑)。
私は、どうやったらもっといろんな人が、ありポイを使ってくれるかなぁって考えたり、工夫したりするのが好きで、喜んでやっているけれど、それに対して「ありがとう」って言われたらやっぱりうれしいですもんね。
「ありがとう」があると、「あたりまえ」ももっと楽しくなる。
情シスは、新型コロナのときリモートワークを取り入れたんです。そのときも、たくさんの「ありポイ」が交わされました。
3チーム交替制で、出社と在宅をまわしたのですが、「自分がいないときにサポートしてくれてありがとう」っていうメッセージが飛び交いました。
物理的な制限が加わることで、「あたりまえ」を「ありがとう」と思うことができたのかもしれないですね。
いろんな人が、「あたりまえ」を意識して、「ありがとう」に変えていく。
それができるだけで、情シスの雰囲気はすごく明るくなると思います。これからも、積極的に使われていくといいな。
まとめ 〜シャイな情シスの小さな革命〜
暗い、静か、シャイ。そんな印象を持たれていた「情シス」でしたが、このような取り組みで、どんどん変化していっていると感じました。
雰囲気は、知らぬ間にジワジワと変わっていくもの。その原因が、どこにあるのか?どうすれば、雰囲気を変えることができるのか!?
職場は・仕事は、きっと、もっと楽しくなる!
諦めずに探っていくことで見つかった、「あたりまえ」と「ありがとう」の関係。
みなさんも、ぜひ日常で「ありがとう」を意識してみませんか。
そして、情シスのみなさん!さらに積極的に「ありポイ」を使ってくださいね♪
※この記事で紹介している”ありポイ”は株式会社システナの”TenaPoint”というシステムを使って運用しています